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高校を卒業後、大学進学せず地元の会社に就職を決めた。
それ程頭が良い方ではなかったし、大学でしたい事もなかった。
普通の家で普通の家庭だけど、裕福な方ではなく、5つ下に弟がいて多分、遺伝子上、弟もさほど頭は良くないはずで、私立ともなればお金も掛かるし一人暮らしとなればさらに掛かる。
両親からの無言の圧力とお願いを感じるし、絶対、行きたい学校があるわけでもなく、働く事も嫌いではない。
少しだけ悩んだ理由は、付き合っていた彼氏と親友が同じ大学に行く予定で、二人から誘われていたからだ。
三人で同じキャンパス、楽しいだろうと思えた。
が、現実はそうはいかない。
「残念だけど仕方ないよな?就職おめでとう、倫子。」
「遊びに来るでしょ?お休みとか、待ってるね?うちに泊まっても良いし、あ、そっかぁ。彼氏んちに泊まるかぁ。」
笑いながら親友の灯里が揶揄う。
そうして、私は新幹線で都会に出て行く友人を見送った。
ついこの間みたいに思えるけど、もう三年も前の話になった。
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