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実家から電車に乗って1時間で会社のある最寄駅になる。
家から駅までは自転車で、降りてから会社までは歩きで10分程だ。
就職した会社は都会に本社がある住宅設備会社で、インターホンやドアを中心に会社は大きくなり今ではシステムキッチンにも力を入れていて、本社では大手建設会社とも連携し始めて、住宅設備メーカーとして有名になって来た。
田舎の支社は今も変わらずにインターホンやドアを生産していて、システムキッチンよりはそこに力を入れていた。
営業補佐として、書類作成をする日々でそれでも毎日、楽しく働いていた。
なれるまで大変だと思うが、幸いにも実家から通えるのは有り難かった。
帰宅すれば食事もあるし、片付けは自分でするけど洗濯も母任せ。
休日ものんびりできるし、家に生活費は入れるけど、家賃がない分貯金に回せるしというのは建前で、ゴールデンウィークには彼氏のいる都会に出掛けた。
浮いたお金は新幹線代に消えるわけだ。
高校一年の秋、文化祭で同じクラスの坂上大悟に告白されて、それまで親友の伊川灯里と数人の男女で遊びに行く事もあったし、何度か話もして気もあって楽しくていいなぁと思っていた。
付き合い始めて、いいなぁ、が間違いではないと分かった。
気が合って楽しくてどんどん大好きになっていった。
ずっと付き合って遠距離恋愛になっても二人なら大丈夫だと思った。
迷いもしなかったし疑いもしなかった。
ゴールデンウィークと秋と春、お休みが取れたら、私が大悟のとこに行く。
お盆休みと年末は大吾が実家に戻って来る。
一年目の遠距離交際は順調。
初めて大悟の一人暮らしのアパートに泊まって、そういう関係になった。
遅い位だって灯里には言われたけど、高校生の時はしたくなかった。
大悟も理解してくれた。
いい彼氏だって思ったし、大事にされていると実感した。
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