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二年目になると、夏休みはアルバイトが忙しいとかで、大悟は帰って来なかった。
秋には大悟の所に泊まりに行った。
二日間だけだったけど、ご飯を作ってあげて凄く喜んでくれて、大悟は勉強が大変だと話してくれた。
「来年はもっと忙しくなるんだ。就職が早まってるだろ?三年は忙しいんだ。バイトも辞めれないし、うちの仕送りもきついみたいでさ。」
「そっか…。私、来れるように頑張るよ!」
「本当?嬉しい!待ってるな?」
「うん!」
それは多分、嘘ではなかったと思う。
だけど、多分全部が本当でもなかった。
私が…馬鹿だったんだ。
2年目の誕生日。
11月8日、二十歳の誕生日だった。
この日だけはどうしても大悟と過ごしたかった。
驚かそうと思ったけど、急過ぎたら学校もあるだろうから、朝一の新幹線に乗って、駅でラインを送った。
ーーー
今から行くね?サプライズ!!
ーーー
既読は付かなくてまだ寝てるかなって思いながら、アパートまで距離があるから、いつもは電車に乗り換えるけど、誕生日だし、駅前で豪華にタクシーに乗り込んだ。
これなら30分掛からない。
タクシーの中でスマホを見つめるが、既読は付かない。
少し心配にもなるけど、きっと寝てる、そう考えてアパートの前にタクシーが止まった。
ボストンバックを手に階段を上り、アパートのインターホンを鳴らした。
寝ぼけた顔でドアを開けたのは大悟。
上は裸でパジャマのズボンだけを履いていて、ちょっと目のやり場に困った。
「大悟!」
驚いた顔で私を見た。
サプライズ成功だ。
「倫子?何で…。」
「何でって…ラインまだ見てない?」
驚きの顔が何処かで迷惑そうにも見える。
悪い事したかなって気になり、言葉に詰まっていると、後ろから声が聞こえた。
「だれぇ?こんな朝早く、高橋?だったら追い返してよぉ。」
ブカブカのパジャマの上着だけを着て、出て来たのは灯里だった。
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