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「クソ真面目?そうかもね、だってこんなの分からないもの。浮気だよ?代わりなんて誰かがしていいものじゃないし、代わりがあっていい事じゃない。大学の間は?私が来ない時は二人で仲良くして、私が来た時は恋人の顔をするの?親友の顔をするの?」
「面倒臭い!急に来たりするから知っちゃう羽目になるんでしょ?連絡してから来れば、私はその前に自分のアパートに帰ってたし、今頃、大悟と仲良く出来てたのに…。」
灯里はそう言うと、またベッドに向かって行き、腰を下ろした。
「それで?それで私が帰ったらまたするのに?」
「うるさいな…取らないって言ってるんだからいいでしょ!」
「灯里!!倫子、落ち着いて?もう、灯里とはしないから、部屋にも入れない。約束する。ごめん!気の迷いだったんだ。」
大悟が言うと、肩越しに灯里の呆れた表情と笑う顔が見えた。
「いつ……。」
いつから?と聞こうとして止めた。
真っ白な頭だけど、分かった事。
親友と彼氏に裏切られていて、二人ともそれをそんなに悪い事だとは思っていない。
自分の気持ちと二人の気持ちには大きな溝がある。
これはもう埋めようがない。
コートのポケットに手を入れて、キーケースを出した。
そこから大悟の部屋の鍵を取った。
大悟の胸にドンと付けた。
顔を見る事は出来ずに、手を突き付けたまま下を向いていた。
「返すね。今までありがとう。灯里もクソ真面目に付き合わせてごめんね。明るい灯里に何度も助けられた。それはありがとう。でもこれは許せないし理解出来ない。だから…二人ともさようなら。お幸せに!」
ドアを開けて外に出ようとすると大悟に腕を捕まれた。
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