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帰宅
どのくらい経っただろうか
重い腰をあげて
夕食を温める
焼き魚をつつきながら
昨日の肉じゃがを思う
今日という日のあることを
ひかえめに信じた
どのくらい経っただろうか
点けた覚えのないテレビから
遠く知らせを聞いている
このまま寝るのはもったいないと
またコーヒーを淹れてしまう
子どものころ
大人になりたいと覚えた味
苦いままなのがうれしくて
何杯も飲みつづけた
その日のおわり
切り花に水をあげた
誰かにやさしくしていなければ
大人になれない夜もある
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