偶像崇拝

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窓口にぽつんと座り 乾いた挨拶を垂れながら ……あなたがひょっこり現れやしないかしらん。 埃べたべたのぬるいカイロ 塊をほぐし、ほぐし、していました あなたに会いたいと詩が生まれそうです あなたに会いたくて言葉が出そうです なにか、 なにか、 なにか、 なにかが、 吹き上げられる雪のように、あるいは花弁のように 私の視界をチラチラチラと眩ますようです ……そんな顔でした?ね、あなた…… 仏様を拝むように私は それら一片一片を集め あなたの像をつくるのです そして両手を合わせます ……そう、あなたはそうだった…… あなたに会いたくて涙が出そうです あなたに会えたとて涙が出そうです なにか、 なにか、 なにかが、 そう、 じゃない? 否、 なに、 も、 かも、 そう、 信じて、 いい、 の 窓口に私を帰したのは、自動出力の乾いた声 合わせているはずの両手は 相も変わらず酸化鉄を潰し、潰し、しているのでした
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