おおかみとたんぽぽ

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おおかみとたんぽぽ

…あるところにおおかみがいました。 おおかみはいつもひとりぼっち。 みんなおおかみがこわいから、ちかづいてこないのです。 もりのどうぶつたちがたのしそうにうたったり、おどっているのをみて、おおかみはいつもうらやましそうにとおくからながめていました。 …ほんとうは、おおかみはとてもさみしがりやで、とてもやさしいのです。 どうしたらみんなとなかよくなれるかかんがえていると、おおかみはたんぽぽがさいているのをみつけました。 たんぽぽはひとりでしたが、たいようのひかりをあびてうたっていました。 おおかみはおもわずたずねました。 たんぽぽさん、こんにちは。 きみはひとりでさみしくないの? たんぽぽはこたえました。 おおかみさん、こんにちは。 さみしくなんかないよ。 だって、たいようさんやかぜさんがいっしょにうたってくれてるから。 おおかみははっとしました。 めにみえないだけで、おおかみのまわりにはたくさんのともだちがいたのです。 おおかみはうれしくなって、たんぽぽとうたいました。 すると、もりのどうぶつたちがおおかみとたんぽぽのまわりにあつまり、うたったり、おどりはじめました。 しらないあいだに、もりのなかはだいがっしょうになりました。 おおかみは、たんぽぽやもりのどうぶつたちとてをつないでうたいつづけました。 ああ、たんぽぽさんありがとう。 ぼくもともだちがいっぱいできたよ。 よかったね、おおかみさん。 これからもやさしいおおかみさんでいてね。 おおかみは、もりのなかまたちとたんぽぽと、ひがくれるまでうたいつづけました。 おしまい
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