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『人間の家の屋根からその飛行機が落ちました。落ちてきた飛行機から出てきたのはあの時のタヌキでした。運転ミスで屋根を壊してごめんというタヌキを人間はぎゅっと抱き締めました』
人間とタヌキが抱き合う絵を見て可愛いなと思ってみていると、なんすがそっとぎゅっと抱き締めてくれた。
『三日月の夜は人間の世界の扉が開く。タヌキはそう言いました。三日月のない日は人間の世界の井戸とタヌキの世界の井戸がポストになってて手紙のやり取りができるよとタヌキは言い、人間とタヌキはそこで手紙のやり取りをすることにしました』
次のページは夜空に浮かぶ三日月が描かれている。
「『三日月の夜、君と僕とで世界を始めよう』
』
人間とタヌキは二つの世界を通して、今も幸せに暮らしています』
僕は絵本をそっと閉じる。
「やっぱりこの絵本はいいでなんす」
なんすは絵本を両手で持ちにこにこしている。僕は首をかしげた。
「何か今の僕たちみたいな絵本だな」
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