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「どういうこと?」
と聞くと、母さんは
「そっか、純は知らないんだった。うーんと……まず、おじいちゃんは、お父さんのお父さんのことなの」
と言う。
僕は目を丸くしながらも、とりあえず耳を傾け、うなずいていると、母さんは、話を続ける。
「そのおじいちゃんは、純が赤ちゃんの時、この家に一緒に住んでたんだけど、その時に言ってたの。『十一月八日、三日月の夜。喋るタヌキが落ちてきたら、ついてってくれ』って。明日がその来る日なの」
母さんはそう言い、僕にほほ笑む。
「……喋るタヌキ?」
「おじいちゃん、そのタヌキに会ったことがあるんだって。不思議な世界に連れてってくれるらしいよ。どんな世界か知らないけど、タヌキの世界なのかな?」
母さんは、父さんに指していた人差し指を、今度は自分の顎に軽くつけ、考えながらそう言った。
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