胡蝶の夢

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もともと、何かに興味があるわけではなかった。 普通に働いて、普通にお金を稼いで、平凡な生活を送ることができればいい。 そう思っていた。 でも、同時に、このままこの生活を永遠に続けていくのかという恐怖もあった。 何の達成感も、何の変化もない、何にも夢中になれない毎日を死ぬまで続けていくのかと。 それは、果たして自分が納得の行く生き方なんだろうかと。 改札機にICカードをかざして、一階下のホームに降りる。 少し待つと、アナウンスが響き、人が寿すし詰め状態の電車が到着した。 退勤ピークの電車に無理矢理乗り込み、人に押しつぶされながら一人暮らしのマンションに帰る。 帰って、近くのスーパーで買ってきた弁当を食べる。そして、風呂に入って、日付が変わった直後にベッドに入る。 今日も、いつもと同じように、ベッドに寝転んだ。
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