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暁の藤 瞼に入り
涙を黒帽で塞ぎ込む
隠した思い出絵画を
燃やし 舞い散る灰が映し出す
アレは遠きに見た記憶
アレは遠きに見た夢々
イタズラなそよ風が
麦藁帽子を奪い去り
なびいたワンピース
黄金色に輝いて
防波堤から眺めた景色
夕焼け茜は紅色
暁の藤 横目で見て
涙を黒帽で塞ぎ込む
隠した思い出絵画を
燃やし
舞い散る灰は誘いの標
冷たい無色な檻の中
次第に錆びた血に染まる
遠き僕に貴女は涙
暁の藤 二人を分かつ
アレは遠きに見た記憶
アレは遠きに見た夢々
「貴女を守ります」
あの日の誓い
今も心に生きていますか
天に響く貴女の叫び
壊れた愛に堕ちた涙
振り返られずに…
僕の顔と握り締めた掌は
紅く紅く染まってしまい
何も見えない
銀色の壊れた心を隠すように
僕は黒帽を深く被る
あの日とは違う顔だから
濁りきった眼で
貴女を見つめることなどできはしない
全てが終わった今でさえ
一時の輝く景色が
かき消されたあの日から…
思い出絵画は紅く燃ゆる
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