0人が本棚に入れています
本棚に追加
〜charm mermaid〜
碧い海の中
幽かに滲む夢の国
幻惑人魚…僕を食べて
僕の部屋に置かれた 巨大な水槽
優雅に泳ぐ貴女
日の光浴びて戯れる
優しいけれど どこか冷たい笑み
formalinの海へようこそ
貴女が呟く
僕が貴女を 手に入れたと思っていた
反理想(事実)
僕が貴女に 溺れていたんだね
formalinまみれの
貴女を舐めるとき
僕の頭を優しく
撫でてくれたね
貴女とガラス越しに
口付け交わして そっと呟く
早く••••••僕を食べて••••••
白いノイズにのたうち回る
生を途切れさせたがるキミ
白い箱の中にあるキミ
翼の様に広がった
長い黒髪がボクを包んで
絞め殺してくれるのを
待っていたのに
回游するキミ 募る想い
腹の中から食い破った
粉々に砕け散った
硝子の破片など気にも留めず
ボクはキミに食らいつく
柔らかい(ふやけた)肌
滑らかな(抜け落ちる)髪
美しい(垂れ落ちた)乳房
ボクを見つめる(虚ろな)瞳
微かに動く脚は
ボクを今かと受け入れた
理性は本能より弱く
其れ故『僕』は涙をこぼした
いっそのこと
ボクを拒絶していれば
キミの弱さとボクの弱さ
露呈された過去よ
キミの純な想いも
ボクの醜い想いも
ひとつに混ざれば 同じになるのか
ふっと耳に聴こえた
キミの夢が唸っていた
ボクは聴こえないフリを
だからキミに言ったんだ
『貴女』の夢を ボクが壊すよ
だからこそ そんなキミはさ ボクが憎いだろう
今こそボクを 粉々に砕いてみせて
幻遊人魚 ボクを食べて……
最初のコメントを投稿しよう!