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 ギアが次に目を覚ますと、自室の天井だった。そして、自分がベッドにいることも予想がついた。 「ギア。おはよう」  エドラが視界の端で微笑んでいた。 「おはよう」 「どうだった? リエラは」 「……少し、話せた」 「そう。良かった」 「うん」  エドラは微笑んだ。ギアはエドラの笑顔が本当に、本当に大好きだった。 「さあ、ご飯にしよう。今日は沢山作ったからね」 エドラは立ち上がってキッチンへ向かった。ふと見ると、今朝水を取り変えた花が美しく咲いていた。その足元には鋏が置いてある。 「ねえ、エドラ」 「何?」 「この花……切っても良い?」 「いいよ」  ギアはベッドの近く置いてあったゴミ箱を更に自分へ寄せた。そして花瓶から花を抜き取ると、ゴミ箱の上に茎を切り落とした。美しい花は花弁だけになった。。ギアはそれを手のひらにおいて眺める。 「ねえ、エドラ。人間は死んだら別の世界に行くの?」 「え?」 「リエラが言ってた」 「あー……そういう考えもあるね」 「……」  エドラは天国を否定する術を持っていたが、何も言わなかった。 「ねえ、リエラが言うには、エドラもそこに行けるかもしれないって」 「え、いけないよ。僕は機械だもの」 「でも、エドラは人間が大好きだろ」 「それは僕だけじゃない。皆好きだよ」 「それに、こっちで生きる時間が短い人は、死んだあと別の世界に行けるらしいから、きっとエドラも行けるよ」 「……だと、いいな」 「行けるよ」 「うん。ありがとう」  ギアは花を手のひらへ乗せたまま、エドラの方へ向かった。 「この花も、行くのかな」 「きっとね。きっと……」
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