プロローグ

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あれは就職活動に失敗して社会に置き去りにされ、呆然と独り身のままで何の愉しみもない日常を過ごしていた最中に俺らを見て、青春だった学生時代の初恋、希望を抱き、憧れた夢、努力と挫折、その中の苦難、夜明け方まで話せるようなライバル、そのライバルとの熾烈な争い、そして敗北、仲間の裏切り、成功者への嫉妬、失恋、己の中の葛藤、大失敗、そして変えられなかった未来…etcを思い出して感慨に浸っている漢の顔だぜ。と、洋介は僕にそっとアイコンタクトで伝えてくる。 長いよ!絶対そんなことないし、後半暗すぎだろ!と、僕はアイコンタクトで返す。 …何やってんだ僕らは。 そんな阿呆な事をやっているうちに中年男性がこちらに歩み寄ってきた。明らかにマトモな人間の目ではない。 「何か用ッスか?」 警戒した洋介が僕の前に進み出る。
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