番外編4:浮所類 〜旅行〜

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緊急の子たちをまず診てから、 インフルエンザの疑いのある子供たちの 診察と検査を行う。 幸いなことに陽性の子は一人で、 その子を一人部屋に隔離する作業を看護師と進めた。 そのうち研修医と看護研修の子たちも二人ずつ、 違う科から駆けつけてくれたので 消灯時間になると、病棟はだいぶ落ち着きを見せた。 やっと一息つける。 医局にある自分の席に座ると、 はぁ・・・と大きなため息が出た。 「ご旅行だったんですよね? 本当に呼び出してしまって申し訳ありませんでした。」 研修医の河野くんはそんな俺に頭を下げて謝った。 「いや、大丈夫だよ。君のせいではないし。」 「・・・でも。」 「こんなの田代先生と君たちだけじゃ無理だったよ。 正解だよ。 他の科も忙しいしね。」 「はい。」 「お疲れ様。君はもう帰る時間だろう?」 「あ、はい。では失礼します。」 「うん。」
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