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秋
『アリス〜そろそろいいかな〜?』
「は~い、今持っていくわ」
霊夢が神社に散らばった落ち葉を集めて小さな山を作り、そこに火を点ける、山から小さな煙がたちあがり周囲を暖める。
「お待たせ〜」
アリスが新聞紙にくるまれたさつま芋とアルミホイルに入った栗を持ってきた。
『ありがとう』
霊夢が火ばさみでさつま芋と栗を入れる、しばらくするとたき火から甘い香りが漂い鼻腔を刺激する、パチパチとたき火が息をする音を二人は静かに聴いて秋の味覚が出来上がるのを待つ
「・・・霊夢」
『ん?』
「ううん、何でもない」
『そう』
二人の間にはたき火の火とは違う暖かさがあり、空間を支配していた。
「・・・そうだ」
『?』
アリスが思いだしたように神社に戻り、何かを持ってきた。
「まだ未完成だけどちょっとだけ使いましょう」
『これってマフラーよね』
持ってきたのは以前から編んでいたマフラーだ、ボンボンが片方しかなく作っている途中のようだった。
『随分長くなったわね、』
「ええ、でもこれぐらいだったら大丈夫だと思うから」
そう言ってアリスは霊夢の隣に座り、マフラーを霊夢の首にかけると、自分の首にもかける。
『・・・なるほど、だから長かったのね』
「うん、別々につくろうとも思ったけど、こっちの方が暖かいと思うし、それに・・・」
『それに?』
「こうすれば、その・・・霊夢をいつでも感じられるから・・・」
アリスは少し照れくさそうに話した。
『・・・ごめん、最後の方小さくてよく聞こえなかった。』
「もう!わかってて言ったでしょ///」
『ウフフ、ごめんごめん・・・』
「・・・知らない!」
アリスがへそを曲げてそっぽを向いてしまう 『・・・ふふ』
霊夢がアリスを優しく抱きよせる
『ありがとう、アリス』
「・・・うん」
二人は寄り添い、たき火を見つめていると、たき火からの甘い香りがより強くなってきた。
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