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そんなやり取りをしているうちに土鍋がコトコト動き、蒸気穴から湯気が吹きはじめる。
『ん?できたんじゃないかしら』
「そ・・・そうね蓋とりましょう」
蓋をとるとグツグツとスープが沸いて中の食材がしっかり浸かって色合いも変わっている
二人はお椀にスープや具材を盛って箸を持ち手を合わせる
『いただきます。』
「いただきます。」
アリスがネギを噛ると口中に甘味と味噌のコクが広がって香りが際立ち、クタクタになった白菜を食べるとより甘味が強くなり味が深まる
霊夢がスープを少し飲むと味噌の味と甘味が溢れてその後に鶏肉を噛むと口内に肉汁が広がり味噌のスープと混ざって良味に仕上がった。
『美味しい~♪』
「美味しい~♪」
同時に声が上がると箸はどんどん進み土鍋の中はあっという間になくなり、二人は満足感に満ち足りた
食事の後片付けをしたあとアリスが雪見障子から外を眺めながら一息ついていると霊夢が一升瓶のお酒を持ってきてアリスの隣に座る。
『アリス、飲む?』
「いただくわ」
小さめのコップにお酒を注ぐ、小気味の良い音がコップに響く
「霊夢貸して、私も入れてあげる」
『ありがとう』
もうひとつのコップにもお酒を注ぎ二人は手に持つと、お互いのコップをカチンッと重ねる。お酒を口に含むと日本酒特有の甘さがふわりと浮かびそこから鋭い感覚が突き刺さり、独特の旨味がでてきた。
「・・・今年ももうすぐ終わるのよね」
『・・・そうね、忘年会の準備もしておかないと』
「何か、私達いつも一緒にいたわね」
『ほんと、それが当たり前になってた感じよね』
「・・・迷惑だった?」
『・・・アリス』
「ん?」
『いつも一緒に居てくれてありがとう・・・』
「///そんな、私も好きで霊夢のそばにいたんだからお礼なんて言われる事でもないよ///」
『・・・どうしても・・・伝えたくてね・・・』
「私だって・・・霊夢には感謝してるのよ、こんな私を好きでいてくれて・・・」
『・・・・・』
「霊夢?」
霊夢はアリスにもたれ掛かるように眠っていた。
「もう!こっちが話してるときに・・・」
アリスは霊夢を起こさないように自分の膝に移動させる
「・・・霊夢・・・好き」
そう呟くと眠っている霊夢の唇に自分の唇を重ねた。
幻想郷にも季節が巡り、景色も変わる、でもいつまでも変わらない景色がある、博麗霊夢、アリス・マーガトロイド、二人はこれからも、この先もともに過ごしともに季節をおくるだろう・・・いつまでも
いつまでも
完
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