1章

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食堂にて珍しく足を運んだ生徒会の皆さん 勿論あの転校生も一緒 最初は羽澄と転校生が楽しそうに話しているのが見え、少し心がチクッとしたが自分もだいぶ慣れてきたようだ 前よりも痛くなかった 俺はこの時、副会長の親衛隊長だった 親衛隊の仕事はサポートだ だから俺は食事し終わった副会長に「新作の紅茶はいかがですか?」と声をかけた 紅茶はこの人の大好きなもので、よくお気に入りのブランドの新作が出たら親衛隊員がわざわざお取り寄せしプレゼントしていた 今回は隊長がお渡ししてくださいという親衛隊員の温かい気遣いを貰ったのでもう既に作られた紅茶を手に副会長に渡そうとしたのだ しかしこのお方、何が気に入らなかったのか「そんなもの要りません」と言い切った それを聞いた俺もおそらく周りで食事をしていた人達もピシッと固まった あの大の紅茶好きがこんなことを言うなんて、今まで一度もなかったからだ 信じられない 俺の知らない間にこの人はこんなにも変わってしまったのだ 「本当に要らないのですか?」と聞くと、「しつこいですよ」と冷たい視線を受けた 近くにいた生徒会にも笑われる始末 だが俺は引かなかった もしかしたら信じたくなかったのだと思う この人がこんなにも変わってしまったという事を 「しかし…」と躊躇い離れない俺に痺れを切らしたのか副会長の隣に座っていた転校生が「静哉が要らないって言ってるんだから、早くあっち行けよ!」と叫んできた はっきり言ってすんごく煩い 内容的にも声のボリューム的にも 隣にいた副会長も耳を痛めたはずだと視線を向ければ何故かニコニコしていた そして「有難うございます蜜」と転校生を膝の上へ乗せたのだ それを見せられた俺はなんだか全て馬鹿馬鹿しくなった 何が『有難うございます』なのだろうか 恋人の目の前で堂々と浮気するこの人のことがもう俺には分からない 少しイライラしていた だからなのかついつい本音が出てしまったのだ 俺は言ってしまった 丁度副会長と転校生が聞こえるくらいの声で 『うっざ』 と
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