1章

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「大丈夫ですか?歩けますか?」と保健委員数名が俺の所に駆け寄ってきた 俺が頷くと1人の保健委員がテキパキと動き「事情はききました。目を見せてください」と医者がやるように看てくれた そういえば保健委員って何故か、将来親の跡を継いで医者になるだろうと言われている奴らが沢山集まっていたんだっけ 凄いなこの学園 俺が感心していると「一応大丈夫そうですが目は擦らないでくださいね。では保健室に行きましょう」ともう1人の保健委員が俺を支えた 俺は足を止めてもう一度男性に「あ、あの本当に有難うこざいました」と頭を下げた 「頭下げない!安静に!」と横で支えていた保健委員に注意され渋々頭を上げる そんな光景を見てか男性はクスクス笑った そして何か思いついた様な顔をして「あ、そうだ君。やっぱ今回のお礼としてしてほし事があるんだけどいいかな?」と言った あ、やっぱりお礼いるんですね 今回は本当に有難かったので、もぉ何でもやりますよ そう心に決めて俺は「いいですよ」と小さく頷いた そして男性は 「俺の料理を一番最初に食べてほしい」 と言った …ん?料理? 目を点にする俺に男性は胸ポケットからカードのようなもの…証明書?を取り出し俺に見せながら続けて言った 「明日からこの食堂のコックとして働く事になった坂峰(さかみね) 伊月(いつき)です。今日は理事長に呼ばれて来たんだけど、少し食堂を見たくてね。寄り道したんだ。まぁ、それはいいとして、どうかな、生徒達に出せる料理か生徒である君に食べて判断してほしいんだ。」 「まぁ無理にまでとは言わないけど」と悪戯っ子のような顔をした男性に、周りから「あの人、素敵」「カッコイイ」という声が聞こえた …この人この学園の生徒がほとんどホモとか知ったら驚くだろうな 「で、どうする?」と聞かれたので、まぁ流石にこれを断るような真似は出来ないと判断した俺は「それがお礼になるのであれば」と返事を返した 「よし!じゃあ明日の放課後、この食堂に来て。約束だよ。」と満面の笑みを浮かべる男性 その笑顔にまたしても周りが「可愛い!」だの「惚れた」だの騒ぎだした 「この人ノンケなんだろうな」と他人事のように思いながら「失礼します」と言って、保健委員と共に食堂の扉へと足を運んだ 途中心配そうにこちらを見つめる親衛隊の姿が見えて申し訳なくなった 今回は少し騒動が大きかったからあの人達来そうだなと思っていると、その通り、食堂を出るのと入れ違いに風紀委員が食堂へと入って行った あぁこの学園の風紀委員、凄く怖いと有名なのに…転校生、ご愁傷さまです。 理事長の親戚だからって何でもしていい訳じゃないんだと『分からしてもらえる』といいね。
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