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光が止むと、ハーシルが肩で息をしながら入ってきた。その額には、玉のような汗が浮き出ている。
「おじいさん、大丈夫?」
「ああ……」
ハーシルはそう返事をすると、台所にある水瓶から杓を取り、喉を鳴らしながら水を飲んだ。
そして、「ふうっ」と大きく息を吐き出すと、椅子にもたれかけた。
「ねえ、おじいさん。さっきのあれは何だったの?」
ソアラはハーシルに向かい合って座ると、息急ききったように話し出した。
「なんだか、私の事を知っているみたいだった。でも、何の事か分からなくて……。『プリンセス』って、なに?」
だが、ハーシルはすぐには答えなかった。じっと目を閉じ何かを考えているようだったが、やがてゆっくりと目を開けた。
「ソアラ。お前は竜の伝説を知っているか?」
「竜の伝説? あの、天空にいるっていう?」
「そうだ。かつて、この世界は光の竜が治めていたんだ」
ハーシルはそう言うと、竜の伝説を語り始めた。
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