シャウト・シャウト・シャウト

ルーティン

　倒れていた自転車を戻した。今度は反対側に倒れた。この自転車は自分のものではない。

　ここの駐輪場は臭いがきつかった。酔っぱらいがここで吐くからだろう。臭いにつられて、少し気分が悪くなってきた。こういう時はあのルーティンをするのが一番だ。周りの目を気にする余裕はなく、いつも通り叫ぶ。

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　叫ばないと、気持ち悪くなることに気づいたのは何年か前だったが、何をすれば吐き気を抑えられるか突き止めるまでに長く悩まされた。効果的な薬などあるはずもなく、こうして叫ぶ。とにかく叫んだ。どんな内容でも良かった。今日言われて嫌だったこと、ムカついたこと、友人への不満とか、誰にも話せない、どこにも行き場のないことを叫べば、気持ち悪さは治まった。

　駐輪場は嫌いだけれど、この場所があって助かった。もう巣のような存在になっている。月の光を遮るものがほとんどない、ここでなら夜にどれだけ叫んでも苦情が届いたことはなかった。