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美しい詩
中学1年の頃には高村光太郎、萩原朔太郎、中原中也などの詩人に夢中だった。国木田独歩の『武蔵野』やヘルマン・ヘッセの『車輪の下』『シッダールタ』や竹山道夫の『ビルマの竪琴』など読んでいた記憶がある。他の子どもと遊ぶ暇があるなら、一冊でも多くの本を読みたかった。
そんな私であったが、ジローの新鮮な感性はいつも私に美しい詩集を読んでいるような感動を与えてくれた。
ジローは動物と仲良くなるのが得意だった。
学校の裏山の小道を少し登ってジローが
「カァ~カァ~♪」
と呼ぶと、特定のカラスがジローの足元に飛んで来た。たまに給食のパンをポケットから出してカラスにやったり、私は家から小さなソーセージを持って来てやったりもした。
特定のリスや、蛇や、キツネもジローと仲良くしていた。初めて出会った渡り鳥のセキレイや街角の雀さえ、ジローの肩や頭には平気で止まったりした。
一度はオオスズメバチみたいなのがジローの胸に止まった。
「大丈夫?刺されない?」
と私が聞くと
「ハチは休んでるだけさ。」
とジローは言った。不安だったが、オオスズメバチはしばらくジローの胸で羽休めをした後、何事もなかったように青空に飛び立った。
ジローが特別支援学級に通わねばならない納得できる理由を、私はなかなか見つけられずにいたが、意外と彼はそこで楽しそうに過ごしていた。川本先生はとてもよく彼の特性を理解して、彼なりの才能を引き出してくれた。
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