雨の朝

1/1
前へ
/19ページ
次へ

雨の朝

 それは6月の半ばだった。朝から大雨が降っていた。私が学校に着いた時、ジローはカッパを着てジョーロで花壇に水を撒いていた。  その横で例の愚劣な男子どもがジローに罵声を浴びせていた。 「大雨降ってもジョロ~ジョロ~♪ 毎日毎日ジョロ~ジョロ~♪」 彼らは流行りの歌のメロディーに合わせてジローを(あざ)笑っていた。彼らは何人かで並んでジローの行く手を(はば)んだ。 「雨降りダジョ~♪ジョロ~やめろ~♪ジョロ~やめろ~♪ジョロ~やめろ~♪」 と声を揃えて歌いながらジローの前に立ちふさがった。  ジローは困惑して 「やめて・・・水あげなきゃいけないんだから・・・お願いだから、どいて!」 と彼らに言った。彼らはどけるどころか、ますます調子に乗って大きな声で(あざけ)りの歌を歌いながらジローを取り囲んだ。 「雨降りダジョ~♪ジョロ~やめろ~♪ジョロ~やめろ~♪ジョロ~やめろ~♪」
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加