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放課後の楽しみ
夏休みが終わって、ジローの教室に行くと、広い教室の一部にボクシングのリングができていた。その横にはサンドバッグも吊られていた。ヘルメットやグローブやミットも用意されていて、私は早速、装備してジローと遊んだ。
川本先生とジローの格闘は、見ていて手に汗握る迫力だった。
ジローがいないところで校長先生は私に言った。
「ジローは力を持て余してるから思いっきり発散させてやらんとな。毎日、花に水やってくれるから、アイツの夢を叶えてやりたくなったんだ。ミユキがボクサーみたいに大勢の男子どもを相手に、一発KO勝ちしたのはカッコよかったぞ!」
私は校長先生と仲良しだった。校長先生は毎日、つなぎを着て、校舎の周辺の草刈りをしたり、ジローの畑の野菜の世話をしたり、玄関のヒビをコンクリートで埋める等、外作業をしていた。私とジローは畑を広げるため、固い土をツルハシで掘ってからスコップで起こし、中から出て来た大きな石を一輪車で運んだりした。私は、そうした作業が楽しく、初めは難しかったツルハシや一輪車の扱いにもすぐ慣れた。私は部活動に参加せず、放課後はジローと畑のキャベツについた青虫を取って遠くへ移動させたり、校長先生と芝生に寝転がってオシャベリを楽しんだりした。
時々は川本先生と油絵を描いた。川本先生は昆虫の絵を描くのが好きだった。テントウムシやアリやハエを30㎝くらいの大きさに拡大して本物らしく描き上げていた。
「僕もチッコイけど、チビだって、しっかり命はあるんだってことを表現したいんだ。」
と言った。
「キノコだって、すごくたくさん子ども生むよね。」
とジローは言った。
それ以来、私はキノコが生き物みたいに感じて仕方がなかった。私はキノコたちが楽しく暮らす森の絵を描いたりした。
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