いとしのジロー

イジメ

　ジローが毎日、ジョウロで花に水をあげているのを見て、精神年齢の低い心無い男子たちは
「ジローがジョーロでジョーズにジョロジョロ水まいた～♪」
「ジロー　ジョロー　ジョロジョロジロー♪」
などと、からかった。
　気がつくと、いつの間にかジローは皆に『ジョロー』と呼ばれていた。ジローは人がいいので、誰にからかわれてもニコニコしていた。ジョローと呼ばれても普通に返事したりした。
　ジローが『ジョロー』と呼ばれることは、私には不快だった。毎日、真面目に熱心に花壇の手入れをして花に水を撒いているジローは立派だと思った。
　ジローをバカにしている奴らは、自分たちの愚かさに気づかず、ジローをけなすことで空虚な優越感に浸っているだけだと思った。彼らがジローをバカにする行為は、彼ら自身の愚劣さを露呈することだ、と思うことで、私は怒りをギリギリ抑えていた。