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「今回のアニメ、ちょっと怖かったね」
「怖くなんかないよ!お姉ちゃんの弱虫!」
ソファの上でポンポン飛び跳ねて、弱虫弱虫と弟の宏和が騒ぎ立てる。ぷっと頬を膨らませて宏和の足をけると、お姉ちゃんの乱暴者!とすぐに蹴り返してきた。宏和は近所の子供たちの中でも元気だし、口がうまい。だからちょっとしたリーダーみたいになっている。私はリモコンでTVを消して、ぷいっと背中を見せた。宏和と遊んでいる暇なんかないんだもん。
「お姉ちゃんのよーわーむーし!」
けたけた笑う宏和が憎たらしい。部屋は共同だからすぐに顔を会わせるんだけどね。いわゆる子供部屋というやつだ。そこに私のお雛様が飾ってある。いつもならニコニコ眺めているんだけど、さっき見たアニメの内容が怖くてドキドキしてる。
「うちのお雛様には呪いなんかないよね」
飾ってもらえないお雛様がある一家を呪うお話だった。お雛様に悪気があったわけじゃないけれど、気味悪がった持ち主が手放し、引き取った骨董屋が毎年お雛様を飾るようになった。飾ってもらったお雛様は、それはそれは喜んで骨董屋が繁盛するよう手助けるようになる。もともとお雛様を持っていた家には幸運を与えていたそうだ。
「うちは、毎年飾っているし大丈夫。幸運があるかどうかはわからないけど」
弟が両親に向かって寝ないと騒いでいる。うるさくってかなわない。私もそろそろ弟と同じ時間に寝るのは限界がある。そろそろ部屋を分けてほしいとお願いしているところだった。
二段ベッドを二つに分け、上の階だったベッドを私が使っている。宏和が来る前に私はさっさとベッドにもぐりこんだ。
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