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「そこの者」
男じゃな....高齢に見えるが。
「ん?どうしたお嬢ちゃん?迷子か?」
「ここはニホンで間違いないか?」
「あ?ここは日本に決まってるが....お嬢ちゃん1人か?親御さんはいないのか?」
男は不思議そうに我を見ている。
「そうかニホンか、では柳沢はどこじゃ?」
「柳沢?どこの柳沢さんだい?」
「ニホンの柳沢に決まっておろう!貴様、自国の王を知らんのか?」
「王?....そうか、何かの遊びか....お嬢ちゃん、悪いがわしには柳沢さんの居場所は分からんな」
柳沢の居場所を知らんとは、この爺は頭がボケておるかも知れんな。
「まあ良い、ところで爺、この馬車は何じゃ?」
先程から気になって仕方ないわ。
「馬車....ああ、トラクターかい?」
「虎!虎くたあと言うのか!強そうな名前じゃな!」
「ああ、力はあるぞ」
「そうかそうか、さすが柳沢じゃな」
「?....ところでお嬢ちゃんはどこから来たのかな?」
この爺に魔界を説明するのは疲れそうじゃな。
「遠くから来たんじゃ」
「遠く....見た目は外国の人のようだな....日本語も微妙に変だしな」
爺は我を更に不思議そうに見ている。
「親御さんとはぐれてしまったのなら駐在に連絡するが....」
「親?そんな者はおらん」
そう告げると目を見開く爺。
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