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彼の声と騒音を聞きつけて駆けてきた小坊主は、包帯の男が障子戸と一緒に地面に転がっているのを見て、泡を食った様子だった。
小坊主は和尚を呼んできたが、それは茂十ではなく、その坊主は篭を助けて寝室へ戻した。
篭は、茂十はどこかと彼らに聞きたかったが、言葉はわかっても縺れる舌では上手く質問を口にできなかった。
明らかに彼は挙動不審だったが、病人が長いこと寝たきりだったせいか、坊主たちはそれに疑問を抱いてはいないように見えた。
茂十ではない和尚は彼を布団へ入れると、もうじき日が暮れるので眠るようにと言った。明日には宋十郎が来るという。
彼が壊した障子戸は、すぐに取り換えられた。
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