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 麗らかな春の陽光が幾何学模様を描くステンドグラスを通り、チャペルの床をカラフルに彩っていた。  天井の高いカテドラルは自然光を取り入れて明るい。整然と並ぶ椅子の間を縫って祭壇まで続く道が式の際にヴァージンロードとなる景色がわたしの目の前に拡がった。想像に胸が躍る。 「いかがですか。わが社の結婚式場が自信を持ってご紹介するチャペルとなっております」  ウェディングプランナーの女性が、わたしと彼を見て誇らしげな笑みを浮かべていた。 「いいわ、すごくいい! わたし、ここで式を挙げたい!」  ドーム型天井を見上げたわたしは、興奮気味に彼に言った。
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