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 そうよ、大丈夫。わたし達はここで式を挙げて、幸せな夫婦になるのだから。  結婚には、夢と幻想の狭間に生まれる小さな不安が付いて回るもの。その不安を払拭してくれるものは何だろうなんて考え始めると、あれこれと良くないものが際限なく湧いてきて、自分で自分を窮地に追い込んでいきかねない。あまり考えない方が賢明なのだ、きっと。  プランナーさんの話しを聞いていた時、視界にチカッと青い光が映り込んでわたしは顔を上げた。  視線の正面にはステンドグラスがあり、幾何学模様の中に美しい聖母マリアの絵がはめ込まれていた。  幼子イエスを抱く聖母マリア。青い光はマリア様が着ている服を太陽光が通ってわたしの元に届いたものだった。
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