2人の過去

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2人の過去

「こういうの、よく見るよな」  彰太朗は助手席の翔子に声を掛けた。  惨憺たる結婚式は当然中断され、その後のスケジュールは全て破棄。  豪華な料理を一口も口にすることなく、2人は家へと帰っていた。 「見るわけないじゃん。  あんなのが日常的に起こってたら、誰も結婚式なんて挙げないよ」  翔子はむすっと答えた。せっかくおしゃれして、おいしい料理が食べられると思ってたのに…。 「いや、ドラマでさ。  結婚式当日に、新婦を昔から好きだった幼馴染とかが乱入してきて、そのまま2人は式場を後にして…みたいな。  昔、ドラマでよく見てたなーって」  今回の惨事もまた、そのものだった。
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