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永井翔子には、両親がいない。
その人生のほとんどを、彼女は母方の祖父母とともに過ごした。
両親の記憶は微かに残っていたが、まだ幼かった彼女の脳は、それらを鮮明に記憶するまで発育していなかった。
両親は火事で亡くなったそうだ。
祖父母からはそう言われている。翔子にはその記憶がない。
そう言われれば、そうと信じるしかないし、特にそれを探ろうともしなかった。
探ったところで、今の自分が変わるわけではない。
彼女はそれを素直に受け入れた。
彰太朗と出会ったのは、高校生の時だ。
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