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惨劇のチャペル
静寂に包まれたチャペル。
今ここに1組の夫婦が誕生しようとしている。
新郎がヴァージンロードを1人で進み、後方の扉から入ってくる新婦を待っている。
新郎の表情からはその緊張感が痛いほど伝わってくるが、凛としたその立ち姿に、同僚である永井彰太朗は溢れそうになる涙を堪えるのに必死だった。
「ちょっと大丈夫?」
隣にいる妻、翔子が耳元で囁いた。
彰太朗は黙って頷くと、ポケットからハンカチを取り出し目頭を拭った。
全然大丈夫ではない。
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