1-5 真夜中の訪問者

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1-5 真夜中の訪問者

 その夜、悠はふと目が覚めた。寝づらいとかではなく、とても自然に目が覚めた感じだ。  周囲はまだ暗くて、シンと静まりかえっている。時計を見れば午前2時を少し過ぎたくらいだ。  もう一度寝直そうと布団に入り込んだが、どうにも寝付ける様子がない。そうしてしばらくゴロゴロしていたがどうにも眠気はこなくて、諦めた悠はトイレと水を飲もうと起き上がった。  外廊下に青白い月明かりが差し込んでいる。住み慣れない場所だけれど、不安などはない。ガラス戸の先には場違いな洗濯物の干し場があったりして、妙な生活感だ。  その廊下の突き当たりがトイレだったりする。自動開閉便座で、更に自動で流れる。水の使用量も少ない最新式だ。  更にリビングへと向かい水を一杯飲み込んだとき、店舗の方から声がするような気がして悠はそちらを見た。  誰かいるのか? 思い、店舗の小上がりまで出てみる。すると、鍵をかけてある店舗の磨り硝子の向こうに人影が見えた。  トレンチコートを着て、帽子を被った細身の男性に見える。ただ影だけなので、顔なんかは分からない。 「もし、すみません。どなたかいらっしゃいませんか?」  男の控えめな声がして、悠は慌てて小上がりからつっかけを履いて土間へと降りた。  が、ここでふと冷静になった。  時刻は夜中の2時だ、流石に来客というには妙な時間じゃないか?  シルエットを見るかぎり、常識のありそうなきちんとした格好をしている。声を聞く限り、泥酔しているとかではなく素面。そんな人が尋ねてくる時間なのか? 「私、ここのご主人と生前親しくさせて頂いておりましたが、訳あって土地を離れておりました。用事でこちらに来たので立ち寄ろうと思ったのですが、喪中とあって慌てまして」  そういうことも、あるとは思う。けれどそれなら明日改めればいいのではないか? 「明日の早朝にはここを発たねばなりません。どうかお線香だけでも上げさせていただけませんか?」  ドンドンと、木枠をノックする音で鈍い音とガラスの揺れる音が響く。その音に更に恐怖心を煽られた。  この、戸を叩く音が激しくなったらどうしよう。この戸の外にいるのは本当に、人間なのだろうか?  後ずさり、土間から小上がりへと戻った悠の足下に、いつの間にかミケがいた。そしてジッと、戸の先を青い目で見つめている。 「いますよね? お願いです、どうかお線香だけでも。私も高齢で、この機を逃せばもうお会いできるか分かりません」  怖い、怖い、怖い!! 「お引き取り下さい! 非常識です!!」  ここに悠がいる事がバレている。途端に怖くなって、悠は叫んでいた。  しばし流れる静寂。悠の足下でミケが腰を上げ、強く警戒するように低く威嚇の声を上げる。  その中で、戸の外から低い忍び笑いが聞こえてきた。 『くくっ、応じたな? 応じたな? ならば招かれよう。お前の家に招かれよう!』  一人でに店の引き戸が開いた。鍵はかけているはずなのに。  月光を背に立っていたのは、おおよそ人とは違う異形であった。  異様に腕が大きく、丸太みたいな腕にボコボコと筋肉の瘤が浮き上がり、指は一本一本がフランクフルトみたいだ。その指の先についている爪はあまりに凶悪で、生き物なんて簡単に引き裂いてしまえるようだ。  そのくせ胴体はあまり大きくなくてずんぐりとしていて、そのアンバランスさが更に異様さを感じさせる。がに股の足は腕に比べて短足だが太い。  頭は正月の獅子舞の頭みたいに角張って大きく、頭に小さいが2本の角がついていて、パサついたざんばら髪が赤い肌に張り付いている。目だけがやたらと大きく半分くらい飛び出しているのではないかと思えるほどギョロギョロしていた。  怖い。怖くて動けない。  異形を前にして恐怖に足がすくんで動けなくなる悠へと、その異形はのしのしと歩いて近づいてきた。 『力だ。力があるぞ。人間も柔らかそうだ。美味しそうだ』 「!」  美味しそうって……食べるってこと!  ガクガク震えて涙が出そうで、声も上げられない。そんな悠をギョロギョロの目で見た異形が、横に大きな口をニタリと開ける。途端に見えた口の中は薄黄色い牙が沢山並んでいて、舌は絵の具をぶちまけたような真っ赤な色をしていた。 「ひぃ!!」 『人間、食う!!』  ドタドタと音を立てて大きすぎる腕を振りかざしたそれが近づいてくる。店の中の色々なものをなぎ倒してくるそれに気圧されて、悠は後ろに尻餅をついた。  ダメだ、食べられる!  頭を庇うように両腕で覆った悠の前に、ミケが毛を逆立てたまま前に出て威嚇する。ウーウー唸るミケへと異形の手が伸びる。その手が小さな肉を裂かんとする、その瞬間、ミケが一際怒ったようにフニャァァァ! と鳴いた。  まるで、雷でも起ったような光で辺りが白くなる。その光に驚いている目の前で、ミケに手を伸ばしていた異形の指が一本ぼとりと落ち、そこから緑色の液体がボタボタ落ちるのを見た。 『ぐぁあぁぁぁぁぁ!』 『わっちの主に手を出そうなんざ、一億年くらい早いんだよ!』  聞き覚えのない若い男の声がして、悠は辺りを見回す。だがここには悠とこの異形、そしてミケしかいなかった。 「ミケ?」  震えた声のまま問いかけると、ミケはこちらを向いて心持ちいい顔で笑った気がした。 『おっ、案外早く気が馴染みだしたかい? さすがだぜ、ご主人さんよ』 「本当に、ミケが喋ってるの?」  信じられない。それに、さっきのは何? バチンと火花が散ったようなあれは、なんだったんだろう。 『おのれ……おのれ化け猫程度がぁぁ!!』 『あぁ? わっちをバカにするたぁ聞き捨てなんねぇ!』  異形が再び手を伸ばして掴みかかってくるが、今度はまるでミケを押しつぶす勢いだ。再び雷のような衝撃と音がしたが、異形も同じ轍は踏まない。ずんぐりな足で軽いステップを踏んでそれを避け、横合いからミケの横っ腹を狙って腕を伸ばす。  だがその腕は突如空中でぼとりと落ちた。 『おっせーぞ、ハル!』 「そう怒らないでください。僕とて夜間は眠るのですから」  足音はしなかった。というよりも、一体どこから現れたんだ?  悠のすぐ横に立った鳥羽の腰には一本の日本刀がある。それが、あの異形の手を切り落としたらしかった。 「お前こそ、入られるまで黙っていたとはどういうことだ、九郎丸。夜はお前に任せているはずだぞ」 『しゃーねーだろ、悠にわっちの声が聞こえるようになったのはついさっきだ。その前に悠が返しちまったんだよ』 「まったく使えない」 『なんだとゴラァ!』 「二人とも喧嘩はやめて!!」  何でこんな状況でこの二人は平気で喧嘩ができて、自分はヒロインみたいな事を言ってるんだ! 「こうなっては仕方がありません。悠様、祭壇に行って鏡を取ってください」 「え?」 「この小鬼も鏡を狙っているのでしょう。あれだけは取られてはいけません」 「でも!」 「ここは僕が抑えますので。道案内は九郎丸がします。夜間は結界をそいつが張っているので、正しい道でなければたどり着けませんから」  そう伝える鳥羽の後ろで、何かがモゾモゾ動いて突然飛び上がった。それは切り離されたはずの小鬼の手だった。 「鳥羽さん!!!」  声を張り上げるが、それよりも先に小鬼の大きな手が鳥羽の頭をむんずと掴み、そのまま握り潰してしまう。目の前で首から上がなくなった鳥羽を見て、今度こそ悠は震え上がって腰が抜けた。 「鳥羽……さん…………」  信じられなくて、震える声で名を呼んだ。けれど返る声はない。倒れた体は腕の中だ。 『がっはははは! 死んだか人間!!』  愉快そうな小鬼が耳障りな声で笑う。その腕には切り落としたはずの手がついているし、指も元に戻っている。 『くっつくのか。厄介だな』 「ミケ、鳥羽さんが!」 『あぁ? ほっとけ、そいつは大丈夫だかんな。なんせ……』  言いかけた所で再び腕が迫る。それが悠へと迫るより前に、今度は丸太のような腕が三つに切れて床に落ちた。 『ぐがぁぁ! なんだとぉ!』 「!!」  確かに青い残光が見えた。そして小鬼の側に立ったのは確かにいままで悠の腕の中にいたはずの鳥羽の体だった。だが、そんなはずはない。彼の頭は握り潰されてしまったんじゃないのか? あの体は、もう動かないんじゃ……? 「まったく、酷い事をします。いくら既に死んでいるとはいえ、こういうことを繰り返すと疲れるのですよ」  既に死んでいる? でも確かに今立っている鳥羽に、潰されたはずの頭が元通り傷一つなく戻っている。 『そいつぁ幽霊だよ。死人を殺すのは、土台無理な話さ』 「幽霊……」  そんなはずは。だって、触れたんだ。今だって確かに倒れてきた鳥羽の体には重みと、温かさがあったのだ。それが、幽霊なわけが……。  でも確かに、一瞬で悠の腕の中から消えた。足音もなく後ろに現れた。そして、潰れたはずの首が元に戻っている。今目の前で起っている事が悪夢でないのなら、少なくとも彼は人ではない事になる。 「悠様、お急ぎ下さい! ここは僕が抑えます」 「あ……」  小鬼の腕は既にくっついていて、鳥羽はその攻撃を刀で抑えている。それでも力に差があるようで、後ろにズズッと押し負ける様子も見える。  ミケが悠の服を口で咥えてグイグイと引っ張った。猫の力だが、かなり強めに誘われているのは分かった。  ここに、こうしている訳にもいかない。確実に鳥羽の足手まといだ。やれる事があるなら、やらなければ。  震えながらもどうにか立ち上がれた。そうして、激しい音と小鬼のがなり声に耳を塞いで悠はミケの後を必死で走り出した。  日中行った祭壇の部屋は表からそれほど離れていない。にもかかわらず、ミケは住居用の母屋をぐるっと遠回りするルートを走る。時々違う部屋にも入ったりと、とにかく無駄が多い。 「ミ……ミケ! どうしてこんなに遠回りしたり寄り道したりしてるの!」  たまらず問うと、ミケは軽いステップで進みながらも首を悠へと向けた。 『ハルも言ったように、わっちが結界を張ってるからよ。万が一ちっちぇーのが紛れ込んでも、おいそれとはたどり着けないようにな』 「俺がトイレに行ったら部屋に戻れないじゃないか!」 『そん時はわっちが見つけて上手いこと部屋まで返す手はずだから、心配しなさんな』 「心配しかないよ!」  それにしても、この母屋こんなに広かったっけ? こんなに部屋数多かったっけ??  そう思えるくらいの距離を走っている。不安になってミケを見ると、彼は迷わず道を走っている。 「ミケ、この母屋こんなに広かったっけ?」 『お! 悠はなかなか鋭いねぇ。本物の母屋と、妖の道をごちゃ混ぜにしてんのさ。迷わす為で、他所とは通じてないけれどな』 「妖の道、って」  僅かに怖くなって後ろを向くが、よくある日本家屋の風景があるのみ。どこが現実で、どこが妖怪の道なのかも分からない。でも分からないままがよかったかもしれない。知ったら怖くてたまらない。 『心配すんな、わっちがついてる。ほれ、お前さんの部屋と祭壇のある部屋の並びだ。ここはこのまま真っ直ぐ』  そこまで言ったところで、突如横の部屋からミシミシと音がし始め、ミケの真横を突き抜ける形で小鬼が障子を破って現れた。  拳を上げる小鬼の突進をまともに食らったミケがガラス戸に叩きつけられて苦しげな声を上げた。 「ミケ!」 『あほぉ! 止まんな! 行け!!』 「でも!」  このままじゃミケが殺されるんじゃないか。人じゃないけど、突き飛ばされた時の声は痛そうだった。痛いなら、死ぬことだってあるんじゃ。  怖かった。小鬼は悠を見つけて手を振り上げている。捕まらなくても一発食らったら死んでしまう。でも、ミケも置いて行けない!  幸い、廊下はこの鬼の腕では狭くて動きが鈍って見える。悠は勇気を振り絞って、小鬼と対峙した。 『人間、食ってやるぅ!!』  両手を上げた小鬼がドタドタと音を立てて走り寄ってくる。悠もそこに向かって大きな声を上げながら走り込み、小鬼が腕を振り下ろすよりも前に脇の下をすり抜けた。  上手くすり抜ける事ができた悠は、未だによろよろと立ち上がるミケを掬い上げるように抱き上げた。 『バカだろ、アンタ』 「ミケは大事な家族だ!」 『……かなわねぇなぁ』  溜息をつきながらも嬉しそうな声に、悠もほんの少しほっとした。 『くそぉ! 人間食わせろぉぉ!』 『来るぜ、悠! わっちが隙を作るから、抜けてそのまま走れ!』  小鬼に向かい鋭く鳴いたミケの声にあわせて、特大の雷が落ちる。悠は動けない小鬼の脇を再びすり抜けて祭壇の部屋へと走った。  障子を開け、祭壇への僅かな距離を踏み出すその背後から影が差して大きな手が鏡へと延ばされる。 『させっかよ!!』  再びの落雷に手が引っ込む。その僅かな間に、悠は祭壇の上の鏡をひっつかんだ。 『そいつを小鬼に向けろ!』  手にした銅鏡の鏡面を、悠は小鬼へと向けた。月明かりの中、鏡面に映し出された小鬼はビクリと体を震わせて動きを止めた。  そこに突如、少女の声が響き渡ったのだ。 『妾の領域で、よくも好き放題してくれたわね。報いはその身で受けなさい!!』 「!」  鏡面の縁がキラリと光り、眩しい太陽のような光が空間を満たしていく。その光りを浴びた小鬼は断末魔の声を上げた。  眩しいが、悠の目には確かに見えた。光りに吸い込まれそうになっている小鬼の体がみるみる縮んでいく様子が。  光りが収まると、そこに先ほどの小鬼はいなかった。だが畳の上にちょこんと、同じ形の何かがいる。親指サイズになった小鬼は、ヘリウムガスでも吸ったような甲高く妙な声でわめいている。  その小鬼を前足で捕まえたミケが明らかに食べようとしていたので、悠は慌てて止めた。 「だめミケ! 変な物食べるとお腹壊す!!」 『アンタ、そっちの心配かい?』  目を丸くしたミケが、次に可笑しそうな声で笑い、小鬼を咥えて悠の前に置く。悠は鏡を持ったまま、静かになった周囲に溜息を漏らした。 『ふふっ、初日から騒々しい夜になったわね、幽玄』 「あの、気のせいでなければ鏡ですよね?」 『その言い方は気に入らないわね。妾は大和の時代より崇められし鏡の巫女なのよ』  ……大和ときたか。  話が壮大だが、確かに銅鏡とかってそのくらいの時代のイメージがある。悠はもう苦笑しか出なかった。  そこに足音がして、鳥羽が顔を出す。だがその体はボロボロで、片腕は肘から下がなく、胸元も大きく裂けていて、悠は思わず「ぎゃぁぁ!」と叫んだ。 「すみません、抑えが利かず」 「鳥羽さん! 酷い怪我……どうしよう!!」 「お気になさらず。霊力が戻れば勝手に直りますので。幽霊ですから、痛みもありませんし」  そう言われて、なんだかハッとする。鳥羽は幽霊で、痛みはない。傷から血が流れる事もない。でも、温かく感じる。幽霊なのに。  なんだか、色々悲しくなってきた。ほっとしたのもあって、勝手に涙が流れてしまった。 「悠様!」 「痛そうです。鳥羽さんは痛くなくても、俺のせいで怪我させたのは変わりません」  鳥羽に近づき、思わずギュッと抱きついた。少しでも早く怪我が治って欲しいと願いながら、無くなってしまった腕に触れた。 「ごめんなさい」  心からの願いと、心からの謝罪をした悠の手が、不意にカッと熱くなった。火傷とは違う、どちらかと言えば体が熱を持っているような感覚に少し焦って鳥羽を見ると、彼の体が僅かに発光していた。そして、胸の傷も肘から先も綺麗に治っている。まるで最初から怪我などしていなかったみたいだ。 「え!」 「これは……」  鳥羽自身も何が起ったのか分からない様子で呟き、自分の体と悠を見ている。やがて傷が治ってしまうと発光は収まり、同じタイミングで体の熱は引いていった。 『悠は優しい子ね。それに、私たちの気と馴染むのが早いわ』 「え?」 「僕も、そのように感じました。悠様から確かに霊力を頂き、むしろ今までよりも元気になった感じがあります。ですが、こんなに早く気が馴染むなど今まで経験がありません」 『初代幽玄以来、か?』 「!」  ミケの茶化すような声音に、鳥羽がハッとする。  先ほどからちょこちょこと、幽玄という名が出てくる。ミケも鳥羽も、その人と深く関わっているのだろうか。 『悠、ちとすまないがわっちの傷も治してくれねぇか? さっき横っ腹に食らった一撃が意外と強くてな』 「あっ、でもどうやったら……」 『簡単よ。癒やしてあげたいって心から願えばいいわ。貴方の霊力がそいつに移って傷を治すから』 「え? あっ、はい」  勿論ミケだって早く怪我が治ってほしい。自分のせいで怪我をさせてしまった。守ってくれた大事な家族なのだ。  痛そうな右の腹部には触れないように気をつけながらそっと抱き上げ、心から元気になるようにと必死で願った。そうするとまた体が熱くなっていく。鳥羽の時よりもずっと熱くて、なんだかクラクラしそうなくらい……。 「おっと!」 「あ……」  体、少し怠いのかもしれない。色々ありすぎて疲れたんだと思う。 「悠、平気か?」 「熱くて……」 「悪いな、まさか化けられるくらい回復してくれるとは思わなくてよ。アンタの霊力吸い過ぎたみたいだ」  誰かが体を支えてくれている。見上げると、見たことのないイケメンがそこにいた。  腰までありそうな黒髪に、整った顔立ちに青い瞳のその人は、黒い着流しの着物に派手な羽織を羽織っていて、悠に申し訳なさそうな表情を向けている。 「……ミケ?」 「まぁ、アンタはわっちをそう呼ぶが、一応ちゃんとした名もあるんだぜ? 九郎丸ってんだ、いい名だろ? これでも平安の貴族様がつけてくれた名なんだぞ」 「凄いね、ミケ……」  凄く眠くて、たまらない。体からズルズルと力が抜けてきて、瞼も重く落ちてくる。  ミケこと九郎丸が着ている羽織を悠に着せかけてくれると更に眠くて、悠はそのまま深く眠ってしまった。
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