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教室に咲く花 二つ
朝、僕は教室に入ると、ようじくんの机の上に「壺」が置いてあるのを見つけた。壺というか、この場合は花瓶といった方がいいだろう。
壺と言ったのは簡単だ。みんながそう呼んでいたからに過ぎなかった。
「ようじくん、昨夜死んだんだって」
誰かが教えてくれた。ようじくん、体の弱そうな子だった。
この教室では弱い子は先に死んでしまう。
「とうた」されるって、先生も言っていた。
チャイムが鳴って先生がやって来る。先生と僕の間にはようじくんの机があり、その上には百合の花が挿してある壺が置いてあった。
僕から先生を見る。目の前の壺で先生の姿が隠れてしまう。今更邪魔だと感じない。
「ようじくんは、弱いから死んだんじゃないんだ。抗体ができなかったに過ぎないんだ。君たちもいずれ同じテストを受ける事になるだろう。良く理解してくれ」
嘘だ。
ようじくんも、死んでいったみんなと同じように苛められたんじゃないか。
テスト、という苛めに。
みんなみんな死んでいった。
ひろとくんも、みなえちゃんも、さくらちゃんも、だいごくんも、テストを受けて死んじゃったんだ。
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