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「お前の好きはわかりにくい」 「どうして、お前がまたいるんだ?」 これは私が思わず、入学式で発した言葉。 出席番号順に並んだ、私の後ろに、見慣れた茶髪の男子が立っている。茶髪なのはほとんど地毛で、染めてない。たぶん、あとで先輩か先生に呼ばれるタイプ。  それはいいとして。  ひそひそと後ろの奴が耳元でささやいた。 「この高校を受けるって聞いててさ。総合学科を選んだのは驚いた。大学行かないつもりか? 成績もよかったのに」 「そんなことはお前には関係ない。いい加減解放してくれ」 「どこまでも着いていくさ。何せ、俺の“推し”なんだから」 「…………」  先生がにらんでいる。眉間に皺を寄せたあの男性が担任か。私はなんせ、成人男性の受けが良くない。これからが憂鬱に思えた。女性の担任ならよかったのに。 「また、俺にモテをご教授してくださいよ!」  軽く背中をはたかれる。しばくぞ、と思ったけれど声に出さなかった。
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