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「き、金曜にねっ、飲もうかって」
とか、マジか!
――なぁ、それ、いくらなんでも今週の話じゃねぇよな?
そんな淡い期待を込めて「今週?」とぼそっと聞いたら、バカ音芽め。
あっけらかんと頷きやがった。
こいつは本当……!
一回〝男心〟を勉強してこい!
そんなことを思って、不機嫌さを隠さないままに
「お前さ、それ冗談抜きで言ってる?」
抑揚のないムスッとした声音で問いかけたら、俺に腰を抱かれたまま「え?」と小さくこぼして後ろを振り返ってくんの。
マジむかつくんだけど?
あんまり腹立たしかったから、わざと不機嫌さマックスな顔で冷ややかに見下ろしてやったら
「はる、まさ?」
ってつぶやいて〝意味分かりません〟みたいな顔をしてきて。
おまけにそれを裏付けるみたいに愛らしく小首を傾げやがるから、さすがに溜め息が出た。
「お前が鈍いのは知ってたけど、ここまでだったなんてな」
俺は音芽の腰から手を解くと、玄関先に置いたままにしていた荷物を手に取って、無言でリビングへ向かう。
「な、何で怒ったの?」
慌ててそんな俺の後を追いかけて来てオロオロする音芽を、俺は思いっきり睨みつけてやった。
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