2人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
…今までなりたかった夢とか、買ったばかりのボールペンとか失くしてきて、失うことに慣れたかもしれない。子供の頃の夢なんて、
とっくに忘れてしまった。
俺は何になりたかったんだ?
どうなることを望んでいた?
こんな事を考えることで時の流れを感じ、
いつの間にか涙が頬を伝っていた。
年のせいか、涙腺が緩くなってしまったもの
だ。スーツの袖で涙を拭う。
ふと前を見ると、いつもと変わらない夜景が
広がっていた。涙で滲んだ目で見ても分かる程、東京の街はあまりにも眩しい。
その眩しさに何故か安心して、止めた筈の涙が、また頬を伝うのであった。
最初のコメントを投稿しよう!