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その噂は瞬く間に近所中に広まり、祝い好きな住民は「お祝いムード」に染まった。
長い長い苦闘を「音」として聞いていたもんだから、涙脆いおじさんおばさん方は当然涙を流したよ。涙脆いからね。
しかし一部の住民には懸念の声もあった。なんせ、45で子供を産むのだから。
体力面の問題も当然。口には出しづらいが未発達の状態で産まれてくる可能性もある。
「あんたも赤子もキリストの下で頭に輪っか浮かべる(要するに死ぬ)はめになっちまう」
「悪いこと言わないから下ろした方がいい」
なんてことを、まぁ…悪気はないだろうが言う人もいた。
そこら辺の問題もアイーダは自覚していた。
しかし、心配はしていなかった。
夫、マルカントも彼女が出産の件で心配していないことを察していた。
彼はきっと
「彼女が常に平然としているのは、毎晩僕が彼女につきっきりで「大丈夫、僕も一緒だ」と慰めているからだ。そうに違いない。可愛い妻だ。」と思っているのだろう。
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