ぼくはいちばんになりたい

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「ハヤトっ、ハヤトっ!」 ぼくが目をあけると、くるまのランプがチカチカしていた。 「あぁ、良かった、目が開きました」 「気をつけろよ、ぶつかってたら大変な事になってたぞ」 しらないおじさんはトラックにのって行ってしまった。ママはぼくをぎゅっとだきしめて、良かった、となみだをポロポロとこぼした。 「ママ、ごめんね。おたんじょうびだったのに、なかせちゃった……」 ママはもういちどぎゅっと、ぼくをだきしめた。 「ハ、ハヤトっ、お、おれも、ご、ごめん、なざい〜」 お兄ちゃんの目からおおつぶなみだがボロボロとおちた。 「おれ、ママが、い、いつもハヤトばっかりほめるから、た、誕生日はママを1番にわらわせたかったんだ。おりがみめちゃくちゃにして、ご、ごめん」 ママはお兄ちゃんとぼくをだきしめた。 「ママは2人が仲良しで、笑ってるのが1番嬉しいよ」  ぼくが、そっかぁ、とわらうとお兄ちゃんも、あはは、とはなをズズズっとならしてわらった。  みちの向こうからパパが「だいじょうぶかぁ〜?」とよぶこえがきこえた。 「「「だいじょーぶーっ!」」」 3人でへんじをして、おうちにかえった。  きょうはママのおたんじょうび。 ママがせかいでいちばんうれしいきもちになればいいな。  お兄ちゃんはママにかぞく4人のえをプレゼントした。 ママはまたそれを見るとないてしまった。さっきのなみだとちがって、ママはなみだといっしょに、にこにことわらっていた。
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