ぼくはいちばんになりたい

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 おもちゃのケンカにまけていると、ママがあいだにきて、 「ハヤトにおもちゃを貸してあげなさい、お兄ちゃんでしょう?」 と、おきまりのセリフ。  お兄ちゃんはベーっと舌をだして、ぼくにおもちゃをなげつけた。  おもちゃはぼくにまわってきた。  でも、ほとんどはお兄ちゃんのおさがりだ。くつも、ふくも、ほいくしょのぼうしも、せいふくも、くつしたも。このおもちゃも。  あ、パンツだけ、さらぴんがある。  どれにも、お兄ちゃんのなまえがかいてあって、そこを黒のマジックでぐじゃぐじゃってして、よこにぼくのなまえがキュってかいてある。  ぼくのなまえはちっちゃくて、ときどき、見えない。
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