ぼくはいちばんになりたい

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 ママのたんじょうび。  パパはケーキをかってきた。 ぼくは、ほいくしょでつくったおりがみのはなたばをこっそりとだそうとした。お兄ちゃんは、おりがみのはなたばを見た。 「そんな、おりがみでママが喜ぶわけない」 「…よろこんでくれるよ。だって、みんなで作ったんだもん」 「みんな? お前、1人で作らなかったのか? それはズルだ」 「ズルじゃない。みんなでぼくのママがわらうといいね、いちばんよろこんでくれるといいねって作ったんだ」 「そんなので、ママが喜ぶわけないだろっ」 お兄ちゃんは、ぼくがもっていたおりがみのはなたばをとって、ゆかになげた。 「やめてっ、それ、がんばって、つくっ、たのに」 ゆかにあか、きいろ、みどり、ピンク、ちゃいろのはなたばだったおりがみがちらばった。 「おにい、ちゃ、んひど、いよ」 お兄ちゃんはぼくをみていた。 ひどいよ。みんなでいっしょに作ったのに。ママによろこんでもらいたかったのに。 「そ、そんな、へなちょこな、プレゼントだなんて、ママは喜ばない、からなっ」  それをきいたぼくは、おうちのそとにとびだした。  きらいだ、お兄ちゃんなんかだいきらい。ぼくはママによろこんでほしかっただけなのに。
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