それまでの日々

2/14
1348人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
みどりは、リビングの掃き出し窓をがらりと開けた。 とたんに海からこの六甲アイランド(人工島)に吹き込む浜風が、彼女の肩までの髪を(なぶ)る。 乱れた髪を抑えて晴れた青い空を見上げると、真っ白な薄い雲がまるで箒で掃いたかのように筋状に流れていた。 彼女はよいしょ、と洗濯したばかりの衣類が入っているカゴをベランダへと出した。 そして、一番上にあった洗濯物を手に取る。 ユニクロで買った彼のボクサーブリーフだ。 彼女はそれを慣れた手つきでピンチハンガーに干すと、すぐにまた次の洗濯物を手にした。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!