あなたは

悲しめない、喜べない

あなたが死んでしまった。
いじめられていた私をずっと傍で支えてくれていたあなたが。
突き飛ばされて。
階段から落ちて。
きっと凄く痛かったと思うわ。
嗚呼、あなたが居なくなっても私はいじめられ続けるかしら。

要らない不安だったみたい。
一番の拠り所を失った私に、皆掌を返したように優しくしてくれた。
まるで、御機嫌取りのように。
私だって最初は強く当たったけれど、次第に落ち着いて今では仲良しよ。

ごめんなさいね。
私を独占したかったようだけど。
叶わなくなってしまったわね。
あら、勿論全部知っていたわ。
あなたが一番私の傍に居たのと同じ。
私だって一番あなたの傍に居たんだから。
【優しい】あなたのことは、全部。
知っていたの。

残酷な程優しかったあなたのことはずっと忘れないから安心して。

皆、今でも時々思い出してはまずこう言うわ。

「あれはとても痛ましい事故だった」