49 days left(2019年4月25日)

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「なんだ、これ……」  手帳をめくっていくうちに、縁が折れているページに辿り着く。熟読していたのか、そのページの端だけ異様にシワが寄っていた。  名前は田神将(たがみしょう)。経歴を下から読むと、命日が昨日の日付、2019年4月25日だった。  校外学習に向かう途中、ビルの建設現場のクレーンの整備不良で鉄筋が頭に落下。頭部挫傷、及び出血多量で病院に運ばれる前に死亡。  その記載の下にメモ付箋が貼られている。  郊外学習の日付を変更、もしくは中止、校外学習場までの通路変更、工事現場への連絡など様々な回避案が記されている。  次のページをめくると、回避案を試すが未来が変わらない、と乱れた文字。 そして、できれば回避案を見つけてから、巫女婆へ代価として払いたい、の文の上に二重線が引かれている。  これは、一体、何の記載だ? 「……恭佑、何か分かったか?」  読むことに集中しており、机に乗ったハルカゼに全く気づかず、ガバッと手帳から頭を上げる。りりりん、と首輪の鈴が響く。 「なんだよ、これ。俺は一体、何者なんだ?」 「……順を追って話そう。どうせ、お前はずっと留守番じゃ。時間はたっぷりある」
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