49 days left(2019年4月25日)

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「ママぁ! なにしてるのぉ〜」  陽莉の大声で、我にかえる。  里帆は急いで涙と釈然としない悲しみを押し込める。 「う、うん、……行くよー!」 「ママぁ! いそいでっ! パパがおそらからかえってきてますっ!」  リビングの扉は半開きになっており、やたらはしゃいだ陽莉がぴょんぴょんと飛び跳ねている。  ほんとうに珍しい。もしかしたら、葬式の暗い雰囲気を受け、子供なりに何かを察知し、母親である里帆を励まそうとしての行動なのだろうか。  子供がすることは時に予想の範疇(はんちゅう)を超える時がある。現に、今も耳を疑うような発言をしていた。  ……パパがお空から帰って来ている。  里帆は、何を言ってるの、と子どもに対し「死」をなんと説明すれば伝わるものかと、嘆息(たんそく)した。  抱えていた骨壷を強い力で持ち直し、廊下を小走りで進む。リビングの扉を開け、目に映った光景に息を呑む。 「……な、んで」  思わず、骨壺を落としそうになり体勢を整える。 「里帆、おかえり。どうした? そんな怖い顔して」  そこには壺に収まっているはずの夫、恭佑が眼鏡の奥の目を細め、笑っていた。
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