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対抗戦
「 男子レスリングの日本代表には、 不本意な結果に終わった試合の悔しさを忘れないため、敗戦後に陰毛を剃る習慣がある。」
そんな噂を聞いたことがある。
創部60年を向かえる我が二宮大学レスリング部にも同じような伝統がある。
「 毎年11月の最終日曜日に行われる、ライバル校である白仙大学との対抗戦に負けた選手は、その年が終わるまでパイパンでいなければならない。」
というものだ。
なんとも低俗下劣な伝統。
でも、体育寮生活をしているので、陰毛を剃るくらい何でもない。
確かにパイパンデビュー日は寮の大浴場で他の部活の奴らに、からかわれたり冷やかされたりはする。
しかし、それも最初の数日だけのことで、すぐに見慣れて日常になる。
伝統の対抗戦というものの、四年生の引退試合的な要素もあるため、ピリピリしたものではなく、和やかであたたかな雰囲気で開催される。
そして、今日がその対抗戦の日。
その伝統の対抗戦に挑む霧谷圭太にとっては、他の部員とは少々事情が異なっていた。
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