一週間前

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 未成年での喫煙・飲酒、恐喝、暴力、父親顔負けの暴走行為。警察もほとほと手を焼いたが、伝説と呼ばれた不良は、ある時を境にスッパリと足を洗った。暴走グループから抜けて、住んでいた町からも姿を消した。  その潔さがまた彼を伝説にし、行方知れずとなったことで、どこか神がかった存在にさえなった。  それが、今桃香の目の前にいる金髪紅白ジャージ。伝説のヤンキー改め、今現在はハンドメイド界の神。日下 界士だ。  臆せずその呼称を吐いた桃香の背後で、またもや男たちがささめく。 「……やっぱり、ハイパー・ド天然だ」 「レジェンド・オブ・ド天然と呼ぼう」 「いいかげんにしないと、師匠の前に僕がどついて、側溝に捨てますよ」  虎丸のやんわりと怖い発言に、一同は一応静まり返る。その様子から、このコミュニティーでの虎丸の位置付けが、なんとなく伝わってくる。  その隣で、肝心の師匠とやらは、目頭に目一杯力を入れつつ口をぱっかり開けるという、何とも器用な表情で桃香を見ていた。 「柳瀬さん、怖くないんですか?」  虎丸は訊いてきた。 「怖いですか?」  桃香は目をしばたたく。人差し指の先だけを日下に向けた。
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