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勇者が世界を救った後の魔王と付き人の話
「魔王サマー! こっち、ダイコンが立派に育ってますよー!」
私は頬に伝う汗を拭って声を張り上げた。
今は農作業をしている私と魔王サマだけれど、これでもかつてはこの世界での悪の権化というべき存在だったのだが……
自らを「勇者」と名乗る青年と、
「魔法使い」を名乗る女性、
とある教会の「神父」であろう禿頭の老人、何故か誇らかに「盗賊」と名乗る青年。
……だれかこの青年に盗賊は誇らかに名乗るものではないと教えてやって欲しい。犯罪である。
まぁ、とりあえず。
悪の権化である私たちはこの個性豊かな勇者一行に呆気なくも木っ端微塵のズタボロにされたわけである。
彼らは何度でも強くてニューゲームができるというのに、私たちは一切それができないというのは不公平にも程がありはしないだろうか。
レベル65の私たちに対してレベル100の勇者一行がかかってくるのだ。オーバーキルにも程がある。
おっと、また話が脱線してしまった。軌道修正しなくちゃね。
木っ端微塵のズタボロになるまでオーバーキルされた私たちは何とか逃げ果せて、この最果ての地にて自給自足で生活している、というわけだ。笑いたきゃ笑うがいい。私たちはこの穏やかな生活にそれなりに満足しているのだ。
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