【6】

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【6】

「あぁ……も、やらぁ!」 皺だらけになったシーツを手繰り寄せるように掴んだ匡人は、だらしなく緩んだ顔で鼻にかかった甘い声をあげた。 背後には匡人の腰をがっちりとホールドしたまま腰を突き上げる戸恒の姿があった。 タクシーで戸恒のマンションに向かい、部屋に縺れ合いながら雪崩れ込んだ二人は互いのスーツを脱がしながら舌を絡ませた。 すでにタクシーの中で昂った匡人の体は限界を迎え、感情も欲望も呆気なく決壊した。 戸恒もまた、部屋に入る前までは匡人をエスコートしながらクールな上司を装っていたが、玄関ドアが閉まると同時に抑え込んでいた欲望を爆発させた。 互いの裸を見るのはモチロン初めてのことだったが、戸恒の体は匡人が思い描いていた以上に逞しく、何より美しかった。 キスを繰り返しながらバスルームに入ったあとはもう、餓えた野獣が獲物を捕食するかのごとく、戸恒は匡人の肉付きの薄い双丘の間に慎ましく鎮座していた淡色の蕾を丁寧にじっくり時間をかけて長い指で解した。 戸恒の手練れた愛撫に、久しぶりに体の芯に火を灯された匡人は誰に構うこともなく艶かしい声をあげ、細い腰を誘うように振った。戸恒の指が匡人のいい場所を掠める度にビクンッと体を弓なりに跳ねさせては、蕾の入口を円を描くように撫でる戸恒の指を食い締めて出ていくことを拒んだ。 クチュクチュと音を立てるほどに濡れた蕾に、床に膝立ちになった戸恒が顔を寄せてフッと息を吹き掛ける。ゾクリと背筋に走った甘い痺れに耐えきれず、壁に手をついて腰を突き出した匡人は肩越しに恨めしげな視線を投げ掛けると、戸恒は黒髪から湯を滴らせながら妖しく微笑んだ。 「綺麗にしてやる……」 その瞬間、さんざん指で弄られたその場所にヌルリと彼の舌先が入り込んでくる。 「ふ……あぁっ! ダメ……課長、ダメッ」 「こんなにヒクヒクして悦んでいるのに?」 「あぁ……そんなっ。も……イッちゃう……っ。やだぁ!」 「ここに何本の男を咥え込んだ? イヤらしい孔でどれだけ誘った?」 戸恒の意地の悪い問いかけに、匡人は水滴を飛ばしながら何度も首を横に振った。 「さ……誘って、ない!」 「嘘つけ! 他の男の前でも可愛い声をあげたのか?」 「ちが……っ。そんな……声、出して……あぁ、ダメ! イッ……イッちゃう!」 戸恒の長く厚い舌が入口の粘膜を擦りあげるように捻じ込まれた瞬間、匡人はタイルに爪を立てて白濁を撒き散らした。ドロリと粘度の高い体液がゆっくりと壁を伝い落ちていく。内腿を小刻みに痙攣させながら、まだ中にある戸恒の舌を締め付けた。 綺麗な肩甲骨が激しく上下し、項垂れたまま喘ぎ乱れた呼吸を整えていた匡人は、股の間から見える戸恒の下半身に息を呑んだ。 添い寝した際、互いの着衣越しに感じた大きさを遥かに上回る長さと太さ。そして、先端の大きく張り出したカリの下は赤黒く充血し血管が浮き出ている。 逞しい雄|芯の奥で揺れているのはたっぷりとした陰嚢。その大きさにも目を奪われた。 「――平坂」 低い声と同時に戸恒のぺニ|スが視界から消える。立ち上がった彼はぐったりとしたまま動けない匡人の脇から腕を伸ばし、シャワーハンドルを捻って湯を止めると、まだ震えている背中に唇を押し当てた。 「ベッドに行こう……。たっぷり愛してやる」 「課長……」 気怠げに振り返った匡人の背中に腕をかけた戸恒は軽々と抱き上げた。 「ちょ……自分で歩けますっ!」 我に返った匡人が焦って声をあげるが、戸恒は別段気にすることなくバスルームを出ると真っ直ぐ寝室へと向かった。 濡れた匡人をそのままシーツに下ろすと、彼はもう一度バスルームに戻りタオルを手に戻ってきた。普段はきちんと整えられている黒髪が濡れ、野性味を増した戸恒にされるがまま、匡人はうっとりと見惚れることしか出来なかった。 どこから見ても完璧な男……。とても不安症を患っているようには思えない。現にY商事を出てから一度も弱気になっていない。こんな状況で突然弱気になられても匡人としては非常に困るのだが、可愛い一面も見てみたい気がする。 コワモテの相貌を幼子のように歪ませて、いつものように甘えて欲しい。 ベッドを軋ませて腰掛けた戸恒の首に両腕を絡めた匡人は、力任せに押し倒すと彼を跨ぐようにして上に乗った。 「平坂……っ」 「今度は俺の番。気持ちよくさせてあげますねっ」 そう言った匡人は湿り気の残る白い肌に掌を滑らせ、胸の突起を指の腹で捏ねるように撫でた。硬く尖った乳首に舌先を絡ませ、上目使いで彼を見上げると、天井を仰いで息を詰めているのがわかる。 ドSでバリタチの戸恒でもこの場所はさすがに弱いらしい。部下でありネコである匡人に弄られ声をあげることは彼のプライドを傷つけることになるのだろうか。それとも、晴れて恋人となった匡人だけにその愛らしい声を聞かせてくれるのだろうか。 「――課長、気持ちいい?」 「っく……。全然……よく、な……いっ」 吐息混じりに漏れる声は誤魔化しがきかない。強がっているのは一目瞭然だった。 そうなると匡人のネコとしてのプライドが加熱する。絶対に声をあげさせようと躍起になり、尖った乳首にやんわりと歯を立てた。 「――ん、あぁっ」 堪えていたものが堰を切ったように戸恒の唇から漏れ始めた。その声を聞いた匡人の下肢は顕著に反応し再び力が漲り始めた。それを戸恒の硬いぺニ|スに押し当てて何度か腰を揺すると、彼の大きな手がシーツを掴み寄せて掠れた声をあげた。 「ひらさ……かっ」 「素直に気持ちいいって言ったら許してあげます」 「やめ……ろ。あぁ……っ」 今まで何人もの男と体を重ねたが、こういった駆け引きは一切なかった。ただ性欲を満たしてくれればいい、気持ちよくなれて後腐れない関係でいたい……。 そのあとで匡人の心に残るのは満足感でも充実感でもない。ただの虚無だった。 でも、今は違う。片想いしていた男に愛される悦びを知った。 甘い囁き、際どい駆け引き……それも時には最高のエッセンスとなる。 匡人の中に眠る小悪魔が頭をもたげ、この男をもっと虜にしたいという気持ちに支配される。他の男に目を奪われることは許さない。 (俺だけを見て……) 戸恒の体のラインをなぞるように下肢に体を移動させた匡人は、黒々とした下生えにたっぷりとした蜜を先端から溢れさせているぺ|ニスに手を添えると、ゆっくりと顔を近づけた。 ヌルヌルと蜜を茎に纏わせながら舌先を伸ばした時、焦ったように上体を起こした戸恒が不安そうな顔で見下ろしていた。 「平坂……それは、ダメだ」 「どうしてですか?」 「その……お前がそんなこと……したら、我慢……出来なくなる」 「何を我慢するんですか?」 「いや……その、で……出てしまうだろ」 恥ずかしげに俯きながらボソボソと呟いた戸恒は、腕を伸ばして匡人の栗色の髪をくしゃりと掴んだ。 しかし匡人はそんな戸恒の言葉を聞き流し、躊躇なく立派な先端を口に含んで舌を絡ませた。目一杯口を開いても全体の三分の一も含めない。膨張し通常時よりも遥かに成長した彼の巨根が愛しくて仕方がない。これが自身の中に入ってイイ場所を突いてくれると思えば口淫にもより熱が入る。 「課長の、大きい……。これで俺のなか、ぐちゃぐちゃにして気持ちよくさせてくれるんでしょ?」 上目使いで戸恒の顔を窺いながらモゴモゴと口を動かすと、その刺激からかまた息を詰めて天井を仰いだ。 男らしい首筋に浮き出た喉仏が上下するのを見て、匡人はニヤリと口元を綻ばせた。 「課長……?」 「ダメだ……。俺、お前を……満足させられる自信……ないっ」 「――は?」 「こんな粗チ|ンで……お前に嫌われたら……。俺は……俺はっ……立ち直れないっ」 片腕で顔を覆うようにして声を震わせた戸恒に、匡人は咥えていた茎から口を離すと、まじまじと彼を見つめた。 「――課長。まさか、このタイミングで……発症した、とか?」 小さく頷く戸恒と、凛々しく天を仰いだままの巨根とを交互に見てから、匡人は大きなため息と共にやんわりと毒を吐いた。 「セッ|クスの最中に不安になるタチって……最悪な感じですよね。もう萎える末路しか見えない」 「だって……相手を気持ちよくさせられなければ意味がないだろ? 俺にはそんな実力なんてないんだよ……。ごめん……平坂」 「巨|根をおっ勃てて、どの口が言ってるんですかっ! 挿れた瞬間、昇天間違いなしですよ、これ……」 「慰めはいいよ……。あぁ……せっかく平坂と恋人になれたのにぃ! 俺って最低だ……」 それまで全く気配を感じなかった不安症が、まさか本当にセッ|クスの最中に再発するとは……。 しかし匡人は、そんな戸恒を見ても萎えることなく、いつも通りの冷静さを保っていた。 ベッドの上でウジウジと自分を責める戸恒に再び跨ると、上を向いたままのぺ|ニスの先端に自身の蕾をあてがい、顔を覆っている逞しい腕を退けて見下ろした。 目を潤ませ、唇を噛んだまま匡人を見上げた戸恒は小さく息を呑んだ。 「――たーたんのチ○コは俺を気持ちよくさせてくれるよ。わかる……? 先っぽでヒクヒクしてるの……。俺のエッチなお尻が「たーたんのチ○コ欲しい」ってお口をパクパクさせてる。早く食べたいって……ほらっ。ぐぅ――んあぁぁぁっ!」 バスルームでたっぷりと解された匡人の蕾は、薄い粘膜を目一杯広げて女性の腕ほどの太さをじわじわと咥え込んでいく。匡人がゆっくりと腰を下ろすと、自重でズブズブと奥へ食い込んでくる戸恒のぺ|ニスの熱さに、シーツについた膝がガクガクと震えた。 「はっ、はっ! あぁ……うっ。おおき……ぃ!」 強烈な圧迫感に内臓が押し上げられ、息が途切れる。ぺニ|スを後|孔で受け入れることは慣れているはずなのに、彼と繋がっているという嬉しさと中を満たす充実感に過剰反応した粘膜が嬉々として蠢動を繰り返す。 戸恒の鍛えられた腹筋に両手をつき、顎を上向けてこみ上げる熱を逃がすように口を開くが、唇の端からはしたなくも涎が一筋流れ落ちた。 「――奥、気持ちいいっ」 貪欲に根元まで咥え込んだ匡人の蕾は割れ裂けんばかりに広がり、充血しながら蜜を纏わせていく。匡人が腰をくねらすとクチュッと音がして、それがやけに大きく卑|猥に部屋に響いた。 体の内部に戸恒のぺニ|スが馴染んだ頃、匡人は彼の上に重なるように体を倒すと、驚きに瞠目したままの唇をそっと塞いだ。 「――魔法をかけるよ。たーたんは俺だけを愛して。俺だけを気持ちよくさせて……」 「ひらさ……か」 「あぁ……もう、動いたらイッちゃいそう。奥、当たってるのわかる? たーたんのチ○コが、俺の奥を犯してる。――ねぇ、そこにいっぱい出して。たーたんのモノだってマーキングして……」 「あぁ……熱いよ。平坂のなか……動いてる。キュッと締め付けて……もっと奥に引き摺り込まれる……んあぁ……っ」 苦しそうに眉間に皺を刻む戸恒の舌を誘うように絡めると、匡人はゆるゆると腰を揺らした。すると戸恒の焦げ茶色の瞳に一筋の光が宿り、野性的で艶を含んだ欲望が見え隠れし始める。 「――平坂っ」 「匡人って呼んで……。課長も俺に魔法をかけて……。あなた以外の男に惹かれないように」 症状を抑えるジェリービーンズはないけれど、それよりも何十倍も甘いキスを交わす。 グチュグチュと音を発しながら、匡人が腰を上下させる度に抽挿が繰り返される。結合部から溢れる蜜で戸恒の下生えを濡らしながら、匡人は底無しの快楽を貪った。 「課長は……俺のこと――」 言いかけた匡人の体が大きく後方に傾き、そのままベッドに倒れ込んだ。彼の両肩にかけられていたのは戸恒の大きな手だった。 体位を逆転されたことで挿入角度が代わり、匡人のイイ場所を戸恒のぺ|ニスが抉った。 「ひぃぃぃっ!――っは、あぁ……当たってる! そこ……グリグリしてぇ~っ!」 声をあげた匡人を見下ろすように上になった戸恒の薄い唇が片方だけ上がる。 「この小悪魔め……。どれだけ俺を煽れば気が済むんだ?」 「あぁ……課長っ」 「貴英と呼べ! お望み通り一生解けることのない魔法をかけてやる!」 低く掠れた声で唸るように囁かれ、強烈な支配力に背筋が甘く痺れる。このまま我を忘れて抱き合いたい。このドSな上司に滅茶苦茶にされたい……。 離れまいと両腕を戸恒の首に絡ませた匡人は、誘うように目を潤ませて言った。 「一生……離れない魔法」 戸恒の口元が嬉しそうに綻んだ。 「――愛している。お前を一生……離さない。どんなことがあっても守る……だからっ」 「貴英……」 「俺と結婚してくれ……」 ブレや迷いのない剛速球プロポーズに、Y商事での発言がハッタリではなかったことが証明された。匡人の頬を一筋の涙が伝った。それを乱暴に拭った戸恒は匡人の細い腰を掴み寄せると、濡れた黒髪を乱しながら激しく腰を振り始めた。 「あ、あぁ……っ! 貴英……そんな……はげ、しぃ!」 「今夜は抜かずにたっぷりと孕ませてやる……。誰にも渡さない……あぁ、愛しい! 可愛い! お前と繋がっているなんて、考えただけで狂いそうだ……っ」 「はぁ、はぁ……俺もっ! 貴英……愛してるっ」 「もっと言って……魔法が、足りないっ」 「好き……大好き! 愛してる……あぁ、もっと頂戴!」 匡人の中で質量を増した戸恒の砲身が弾け、灼熱を最奥に叩きつける。その勢いにうち震える粘膜が匡人を幾度となく絶頂へと導く。 戸恒が宣言した通り、二人の結合部は朝まで解けることはなかった。体位を変え、時に繋がったまま意識を失い、そしてまた絡み合う。 汗と体液で濡れたシーツを手繰り寄せ、荒い息を繰り返す匡人の背中に降り注ぐ優しいキスの雨は止むことはなかった。
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